福島県郡山市の歯医者 宝沢伊藤歯科医院

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【インプラントができないと言われた方】諦める前に知りたい理由・対処法・新たな選択肢

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「インプラントは難しいかもしれません」
歯科医院でそう告げられ、ショックを受けたり、今後の治療に不安を感じたりしていませんか。
失った歯を取り戻すための有力な選択肢と考えていただけに、落胆も大きいことでしょう。
しかし、一度「できない」と言われたからといって、諦めてしまうのはまだ早いかもしれません。
この記事では、インプラントが難しいとされる具体的な理由から、治療を可能にするための対処法、そしてインプラント以外の新たな選択肢までを専門的な知見に基づいて分かりやすく解説します。
この記事を読めば、ご自身の状況を客観的に理解し、前向きな次の一歩を踏み出すためのヒントが見つかるはずです。


まずはセルフチェック|インプラントができない・難しいと言われる9つのケース

インプラント治療が難しいとされるケースには、ご自身の努力や事前の治療で解決できる「相対的禁忌」と、現時点での治療が極めて困難な「絶対的禁忌」があります。
まずは、ご自身の状況がどれに当てはまるかを確認してみましょう。


項目分類主な理由治療の可能性
重度の全身疾患絶対的禁忌


感染リスク増大、創傷治癒遅延


内科医と連携し、状態が安定すれば相対的禁忌へ移行


妊娠中絶対的禁忌
母体・胎児への安全性確保


出産後に治療が可能


顎の成長期絶対的禁忌


顎の成長による位置ズレのリスク


骨の成長完了後に治療が可能


骨量・密度の不足相対的禁忌


インプラントを支えられない


骨造成手術により治療可能になる場合が多い


重度の歯周病相対的禁忌


インプラント周囲炎のリスク増大


歯周病治療を徹底することで治療可能


喫煙習慣相対的禁忌


血流悪化による治癒不全、感染リスク増大


禁煙することでリスクを大幅に軽減できる


強い歯ぎしり相対的禁忌


インプラントへの過剰な負担、破損リスク


ナイトガードの使用などでリスクを管理できる




【全身状態が理由のケース】
1. 重度の全身疾患(コントロール不良の糖尿病、骨粗しょう症など)
インプラント手術は外科処置を伴うため、全身の健康状態が大きく影響します。
特に、コントロールがうまくいっていない重度の糖尿病の方は注意が必要です。
高血糖の状態が続くと、体の免疫機能が低下し、手術後の傷の治りが遅くなったり、細菌に感染しやすくなったりするリスクが高まります。
また、重度の骨粗しょう症の方も治療が難しくなることがあります。
骨の密度が低いと、インプラントと顎の骨がしっかりと結合(オッセオインテグレーション)せず、インプラントが抜け落ちてしまう可能性があるからです。

2. 妊娠中・顎の成長期(18歳未満)
妊娠中は、お母さんとお腹の赤ちゃんへの安全を最優先するため、原則としてインプラント治療は行いません。
手術に伴うストレスや、レントゲン撮影、投薬などの影響を避ける必要があるからです。
また、18歳未満の方は、まだ顎の骨が成長している段階にあります。
この時期にインプラントを入れてしまうと、将来的に骨の成長とともにインプラントの位置がずれてしまい、見た目や噛み合わせに問題が生じる可能性があります。



【お口の中の状態が理由のケース】

3. 顎の骨の量・密度が不足している
インプラントは、顎の骨に直接埋め込む人工の歯根です。
そのため、インプラントを支えるための十分な骨の厚みや高さ、硬さが必要になります。
歯周病が進行していたり、歯が抜けてから長い時間が経過していたりすると、顎の骨が痩せてしまい、インプラントを埋め込むスペースが足りなくなってしまうのです。
これは、インプラントができないと言われる最も一般的な理由の一つです。

4. 重度の歯周病や多数の未治療の虫歯がある
お口の中が清潔に保たれていない状態でインプラント治療を行うことは、非常に高いリスクを伴います。
例えば、重度の歯周病がある場合、歯茎は細菌に感染し、炎症を起こしている状態です。
これは、いわば「汚れた土壌」に新しい苗を植えるようなもので、インプラントも細菌に感染し、「インプラント周囲炎」という病気を引き起こす可能性が高くなります。
インプラントを長持ちさせるためには、まず歯周病や虫歯の治療を完了させ、お口の中を健康な状態に整えることが大前提となります。


【生活習慣・その他が理由のケース】

5. 喫煙習慣がある
喫煙は、インプラント治療の成功率を下げる大きな要因の一つです。
タバコに含まれるニコチンには血管を収縮させる作用があり、歯茎への血流を悪化させます。
その結果、手術後の傷の治りが遅れたり、インプラントと骨の結合が妨げられたりすることがあります。

6. 歯ぎしり・食いしばりが強い
歯ぎしりや食いしばりの癖があると、インプラントに過剰な力がかかり続けることになります。
天然の歯には、歯と骨の間にある「歯根膜」というクッションのような組織があり、強い力から歯を守っています。
しかし、インプラントにはこの歯根膜がないため、力がダイレクトに伝わってしまいます。
その結果、インプラントの上部構造が破損したり、周囲の骨がダメージを受けたりするリスクが高まるのです。



インプラントを可能にする治療法と代替案


インプラントが難しいと診断されたとしても、それが最終決定とは限りません。
近年の歯科医療の進歩により、以前は難しかった症例でも治療が可能になるケースが増えています。
ここでは、インプラント治療の可能性を広げるためのアプローチと、それが難しい場合の他の優れた選択肢についてご紹介します。

骨造成や歯周病治療でインプラントの土台を整える
インプラント治療の成功は、しっかりとした土台があってこそ成り立ちます。
「骨の量が足りない」「歯周病が進行している」といった理由でインプラントが難しいと言われた場合でも、これらの問題を解決することで治療が可能になることがあります。
  • 骨造成治療:インプラントを埋め込むのに十分な骨がない場合に、ご自身の骨や人工の骨補填材を用いて骨の再生を促す治療です。GBR法やサイナスリフトといった様々な手法があり、症例に応じて最適な方法が選択されます。
    宝沢伊藤歯科医院では、「骨の量が足りない」と言われた方にも「骨増生」を行なっています。インプラントができないと言われた方も是非一度ご相談ください。
  • 歯周病治療:インプラントを入れる前に、徹底的な歯周病治療を行います。歯石の除去や歯周ポケットのクリーニング、場合によっては歯周外科処置を通じて、歯茎を健康な状態に戻すことが重要です。

これらの準備をしっかりと行うことで、インプラント治療の安全性を高め、長期的に安定した状態を維持することが期待できます。

インプラント以外の選択肢(ブリッジ・入れ歯・オーバーデンチャー)
様々な理由からインプラント治療が最善の選択ではない場合でも、失った歯の機能と見た目を回復させる方法はあります。
それぞれの治療法にはメリットとデメリットがあるため、ご自身のライフスタイルや価値観に合ったものを選ぶことが大切です。


インプラント以外の選択肢
治療法メリットデメリットこんな方におすすめ
ブリッジ・治療期間が比較的短い
・固定式で違和感が少ない
・見た目が自然


・健康な両隣の歯を削る必要がある
・支える歯に負担がかかる
・歯のない部分の骨が痩せていく


・インプラント手術が必要
・通常の入れ歯よりは費用がかかる
・定期的なメンテナンスが必要


入れ歯・費用を抑えられる(保険適用あり)
・歯を削る量が少ない、または削らない
・広範囲の欠損に対応できる


・違和感や異物感が出やすい
・安定性が低く、硬いものが噛みにくいことがある
・バネが見えるなど審美性に劣る場合がある


・多くの歯を失った
・外科手術ができない
・費用をできるだけ抑えたい


オーバーデンチャー・入れ歯がしっかりと固定され、ズレにくい
・通常の入れ歯より格段によく噛める
・顎の骨が痩せるのを防ぐ効果がある


・インプラント手術が必要
・通常の入れ歯よりは費用がかかる
・定期的なメンテナンスが必要


・総入れ歯が合わない、ずれる方
・食事を楽しみたいが、費用は抑えたい方
・多くの歯を失い、ブリッジができない方




特に「インプラントオーバーデンチャー」は、2〜4本といった最小限のインプラントで総入れ歯をしっかりと固定する方法です。
「入れ歯は嫌だけど、全ての歯をインプラントにするのは費用的に難しい」とお考えの方にとって、非常に満足度の高い治療法となる可能性があります。

【まとめ】あなたに合った治療法で、再び噛める喜びを取り戻しましょう

「インプラントができない」という言葉は、決して治療への道を閉ざすものではありません。
この記事でご紹介したように、全身疾患のコントロールやお口の環境改善、生活習慣の見直しによって、治療の可能性は広がります。
また、骨造成などの先進技術や、インプラントオーバーデンチャーといった新しい選択肢も存在します。
最も大切なのは、ご自身の状況を正確に把握し、様々な選択肢の中から最適な治療法を見つけ出すことです。
そのためには、信頼できる歯科医師としっかりとコミュニケーションをとり、納得のいくまで相談することが不可欠です。
郡山市にある宝沢伊藤歯科医院では、患者様一人ひとりのご状況やお悩みに真摯に耳を傾け、精密な診断に基づいた最善の治療計画をご提案しています。
再びしっかりと噛んで食事を楽しみ、心から笑える毎日を取り戻すために、ぜひ一度ご相談ください。