福島県郡山市の歯医者 宝沢伊藤歯科医院

医院ブログ

インビザラインが重度の不正咬合に向かない理由

医院ブログ
皆さんこんにちは!「機能的で快適な美しい口腔を創り、それを守り続ける歯科医療」を目指す、宝沢伊藤歯科医院です。

インビザラインは、透明なマウスピースを使用した歯列矯正の方法で、近年希望する患者様も増えてきています。その審美性の高さや装着時の快適さから、不正咬合に悩む患者に選ばれることが多いですが、インビザラインは重度の不正咬合に対しては適していないとされています。本記事では、インビザラインが重度の不正咬合に向いていない理由について詳しく解説します。

■重度の不正咬合とは?

重度の不正咬合とは、歯の位置や咬み合わせが見るからに乱れている状態を指します。具体的には、以下のような種類があります。

①受け口
別名「反対咬合」と呼ばれる受け口は、上の前歯よりも下の前歯あるいは顎が前に位置する状態で、審美性にも大きな影響を及ぼし、口を閉じる際も歯が正常に接触しません。咀嚼や発音に悪影響を及ぼすことがある不正咬合です。

②出っ歯
上の前歯が下の前を覆う形になっている、あるいは突き出している状態です。下の前歯が上の前歯に隠れて過度の圧力がかかることによって歯や歯茎に負担がかかります。

③開咬
上下の歯を閉じたときに隙間ができる状態を指す不正咬合です。一見異常がないように見えますが、咬み合わせがよくないので食べ物を噛むことが難しく、歯が正しく機能しません。

このほかにも、上下の歯の咬み合わせが不均一で、特定の歯だけが過度に磨耗したり偏った力がかかる不正咬合も重度と判断されます。この状態を放っておくと咀嚼や噛み合わせのバランスを崩す原因となり、顔立ちにも影響を与え、全身の不調を引き起こすこともあります。

■インビザライン治療の仕組み

インビザラインによる治療は、透明なマウスピースを使って歯を少しずつ移動させる仕組みです。マウスピースは患者様ひとりひとりの歯並びに合わせてカスタマイズされ、1〜2週間おきに段階的に交換することで歯を正しい位置に導きます。歯の移動には適切な力が必要になり、インビザラインは特定の力を歯にかけることができますが、重度の不正咬合の場合、必要な力や方向が複雑になるため、マウスピースだけでは効果的な治療が難しいことがあります。また、1日20〜22時間の装着時間が定められていますが、この装着時間を守ったとしても重度の不正咬合を治すには不十分で効果を得られない可能性が高いのが現状です。

■インビザラインが重度の不正咬合に向いていない理由

①矯正力が足りない
インビザラインは、比較的軽い力で歯を移動させる設計になってるので、大きな力が必要になる重度の不正咬合の場合、十分な効果を得られないことが多くなります。

②大きな歯の移動ができない
重度の不正咬合の場合、歯の位置を正確に移動させる必要があります。しかし、インビザラインは大きな歯の移動には十分な効果を発揮できない可能性が高いため、歯を大きく動かす必要がある場合、インビザラインでは対応が難しいことがあります。

③複雑な治療ができない
重度の不正咬合の治療を行う場合は細かい診断と計画が求められます。インビザラインは比較的単純な不正咬合に対応するために設計されているので、複雑な咬み合わせの問題を解決するには不十分な場合があります。

■重度の不正咬合に適した治療法

ワイヤー矯正は、歯を大きく、複雑に動かすことができるため、重度の不正咬合にも適した治療方法です。歯にブラケットをつけ、そこにワイヤーを通して強い力をかけることで歯を正しい位置に導いていきます。しかし、ワイヤー矯正だけでは治せないほど重度の不正咬合の場合、外科的矯正が必要となることもあります。予定していた治療よりも大掛かりなものになるケースもあるのでしっかり確認しておく必要があります。

■まとめ

インビザラインは、その審美性の高さや快適な付け心地から多くの患者様に支持されていますが、重度の不正咬合に対しては適さないことが多いです。インビザラインを希望したからといって必ずしもインビザラインで治療ができるわけではありません。大切なのは自分に合った方法を選ぶことです。歯科医師と相談しながら慎重に決めましょう。