福島県郡山市の歯医者 宝沢伊藤歯科医院

歯周病の治療と検査

歯周病検査

デンタルドックで行う歯周病検査は以下の内容になります。

① 口腔内写真撮影

歯肉の腫れや発赤、形態異常などを記録し、現状を説明するために用います。また、治療後に治療前との比較検討することで治療効果を確認するのに役立ちます。

② X線検査

視覚的にはわからない情報、特に歯槽骨の状態を確認するために行います。デンタル14枚法が基準です。パノラマX線は全体の大まかな状況確認には有効ですが、歯周病治療の治療方針を決定するための情報量としては不十分です。細部まで必要な情報を得るためにはデンタルX線写真が有効です。

③ 歯周ポケット検査

歯周病の進行程度を確認するための検査です。歯周プローブを歯周ポケット内に入れて歯周ポケット(歯から歯ぐきが剥がれてできる隙間)の深さを計測します。
同時に出血の有無を確認します。プロービングによる出血は歯周病が現在進行形で進んでいることを意味します。

④ 動揺度検査

歯の保存の可否や連結固定の必要性を判断するための検査です。歯周病が進行し歯槽骨が喪失しているほど動揺(歯のぐらつき)は大きくなります。

⑤ 染め出し検査

プラーク(細菌)だけがピンクに染まる特殊な溶液を歯に塗ってプラークの残存状態を確認します。プラークが多いほど歯周病の進行が加速します。

歯周病の進行と治療

進行度1(初期歯周病)

[進行度1] 歯茎がはれ、出血する
【臨床所見】
歯周ポケットは浅い状態(3〜4mm)歯ぐきのわずかな発赤や腫脹が認められる。

【治療法】
縁上縁下の歯石やプラーク除去と環境改善治療により改善できます。

進行度2(中等度歯周病)

[進行度2] 口臭を感じるようになる
【臨床所見】
歯周ポケットはやや深い(4〜6㎜)歯ぐきの発赤、腫脹が強くなるか、歯肉退縮が見られるようになる。

【治療法】
縁上縁下の歯石・プラーク除去に加え、プラークコントロールの学習、実践が必要になります。

進行度3(重度歯周病)

【臨床所見】
深い歯周ポケット(7㎜以上)強い歯肉の発赤・腫脹、または大きな歯肉退縮、歯ブラシなどで容易に歯ぐきからの出血があり、歯が動くようになる。しかし、喫煙者ではこれらの臨床所見が歯ぐきの硬直化により隠されることもある。
 
【治療法】
歯周外科手術による縁下の歯石・プラーク除去と徹底的なプラークコントロールの学習、実践が必須。状況に応じて歯周組織再生療法が適応となります。

進行度4(末期歯周病)

[進行度4] 硬いものが食べられなくなる
【臨床所見】
歯のぐらつきが大きくなり、歯肉退縮が顕著になる。硬いものは食べられない。
 
【治療法】
抜歯以外に歯周病を抑えこむ方法はなく、骨保護のための抜歯をお勧めします。

歯周病の再発

歯周病は何度でも発症を繰り返す疾患です。

一度改善したからといって、プラークコントロールが持続しないと再発し、歯槽骨はさらに失われていくことになります。その再発を防ぐためのプログラムがメンテナンスです。
あなたに合ったオーダーメイドのメンテナンスを続けることで治療によって作られた口腔の健康は守られていきます。
日本人は欧米人と比べてメンテナンスに定期的に通う方が圧倒的に少ないというデータがあります。治療により作られた口腔の健康を守り続ける欧米人と疾患を繰り返し治療を繰り返す日本人とでは高齢期に残存している歯の数に大きな差があります。適正なメンテナンスを受けて口腔の健康を維持しましょう。
宝沢伊藤歯科医院では患者さん一人一人にあったオーダーメイドのメンテナンスプログラムを作成し「豊かな暮らし」をサポートしていきます。

歯石除去が歯周病治療という誤解

歯石とは、プラーク(歯垢)が唾液の中のカルシウムやリンと結びついて石灰化した硬いかたまりのことをいいます。歯石の中の細菌は死んでしまい病原性はありません。しかし、歯石は新しいプラークの棲家になるので付着したままにしておくのは危険です。つまり、歯石除去はプラークが付着しにくい 環境作りのための治療ですが、歯石を取るだけでは歯周病は改善されません。歯周病治療のターゲットはあくまでプラーク、生きている細菌です。

洗口剤は有効か?

1/1000gの中のプラーク内に1億を超える細菌が棲みついています。
プラークはその表面に「菌体外多糖」というネバネバした膜を形成します。この特殊な膜を「バイオフィルム」と言いますが、歯周病菌はこのバイオフィルムによって守られているので、いくら洗口剤でうがいをしても効果はありません。機械的除去だけがプラーク除去の有効手段です。
ただし、プラーク(バイオフィルム)を分解することのできる「POICウォーター」は有効です。

歯周病の管理(メンテナンス)

歯周病菌は感染すると「常在菌」となり、残念ながらいなくなることがない細菌です。ですから治療により改善が見られても油断をすると再発を繰り返す疾患です。再発防止のためには「メンテナンス」が重要です。治療後も定期的なメンテナンスに通う習慣を身につけてください。