新型コロナウイルスによるマスク生活が始まり2年以上が経過しました。感染対策にマスクは効果的ですが、マスク着用による弊害があることも忘れてはいけません。
実はマスクを常にすることによって、かえって感染症リスクが高まる可能性もあるということです。それは、マスク着用による「口呼吸」が原因です。マスクをしながら歩いたり運動したりすると、息苦しくなってついつい口呼吸をしてしまいがちです。口で呼吸しているか、鼻で呼吸しているかは、感染症対策においては大きな違いがあります。
福岡県の春日市立須玖小学校では、生徒の口呼吸を鼻呼吸に変えるトレーニングをしただけで、インフルエンザにかかる子どもが40%から5%に激減したという調査結果があります。
鼻のなかにはたくさんの鼻毛が生えているほか、つねにネバネバした粘液(いわゆる鼻水)が出ています。鼻毛や鼻水が、細菌やウイルスをからめとり、それ以上身体のなかに侵入するのを防いでいるのです。また、鼻のなかは細かい血管が張りめぐらされていて、吸い込んだ空気をすぐに温め、加湿する効果もあります。加湿されることにより、高温・高湿な状態が苦手なウイルスの増殖を防いでいるのです。
これらの効果は絶大で、空気と一緒に入ってくる細菌やウイルスを70%ほどはカットしてくれます。つまり、鼻呼吸は、「天然のマスク」の役割を果たしているということです。
口で呼吸するのは、 この天然のマスクを外してしまうのと同じ。細菌やウイルスが体内に入り放題になっているのです。マスク生活による口呼吸には十分な注意が必要です。
院長 伊藤 克紀