大阪大学 歯学部研究科の天野敦雄先生のウェブセミナーを聞きました。バイオフィルムの驚異を改めて実感するセミナーでした。
むし歯や歯周病は常在菌による感染症です。常在菌とは、完全に無くすことのできない菌であり、それがゆえに歯周病は治すことが非常に難しい病気でもあるのです。それをわかりやすく説明します。
1つ目は殺菌方法の限界です。例えば、お口の中の細菌を99%殺菌できても、残りの1%が増殖して数時間以内には、2倍に増殖し、20時間後にはほぼ100%に戻ってしまうのです。
2つ目は、歯周病菌は、バイオフィルムに守られているからです。バイオフィルムとは、細菌が薬剤などから身を守るために作る膜状のもので、例えると、台所や浴槽に存在するヌメリです。そのヌメリがお口の中にも作られるのです。市販の洗口剤が有効ではないのは、細菌がバイオフィルムに守られているからで強固なバイオフィルムは、ブラッシングによって破壊することが困難になります。そのために、定期的に機械を使ったバイオフィルムの破壊「プロフェショナルケア」が必要になるのです。
また、歯周病は、バイオフィルム内に存在するだけではありません。近年、位相差顕微鏡の発達により、細胞内まで細菌が侵入していることが分かりました。そして、 歯周病菌は細胞内に住みつき細胞から細胞へと移動を繰り返していることが判明しました。細胞内まで侵入した細菌には、抗生物質の効果も薄いため、徹底的に行うホームケア、定期的なメンテナンス、そして早めの歯周病の検査と治療をしていくことが大切です。
患者さんと私達歯科衛生士が協力し合って、歯周病対策をしていきましょう。これからもお口の健康を守っていくように日々勉強して行きます。
歯科衛生士 鈴木愛理