昨年の原発事故以来、院内で使用される治療水(うがいの水、歯を削る際に出る水)の安全性を調べてきました。その結果放射性物質は含まれていないことがわかりましたが、診療台の給水管に基準値以の細菌汚染があることがわかりました。これは、日本歯科医師会の調査でも明らかになっており、さらにアメリカでもHIVウィルスの歯科医院での院内感染が問題となっておりました。これらの問題は水道水由来の細菌感染と給水管への逆流によるチューブ内へのバイオフィルム形成が原因とされています。日本の水道水には塩素が含まれており、殺菌力があるのですが、水の停滞や逆流によるチューブ内へのバイオフィルム形成残留塩素濃度が減少し、細菌やウィルスが繁殖してしまうようです。宝沢伊藤歯科医院ではこの問題を重く受け止め、その対策を考えてきました。すると世界に先駆けて日本には水道水を殺菌水に換えて給水管に流すシステムがありました。このシステムの導入で安心·安全な歯科医療を提供できるようになりましたのでご報告いたします。
(給水管の改善および新規導入器材に関して) ➀院内の配水管全てをフッ素コートチューブに交換 ➁EPIOS ECOシステムの導入 ➂Dr.PLUSの導入
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➀フッ素コートチューブ 大阪大学の口腔分子感染制御学講座の今里教授らの研究でウレタンチューブからフッ素コートチューブに変えることで、バイオフィルム形成が抑制されることがわかり、当院のチューブもすべてフッ素コートチューブに交換しました。
➁EPIOS ECOシステムの導入 水道水を殺菌水に変換するシステムです。ECOシステムにより生成される水は、phは中性領域にあり、細菌やウィルスに強い殺菌力を持つ機能水で「次亜塩素酸水」と呼ばれています。水道水質基準項目もクリアしており副作用はなく、各種薬品、薬剤よりはるかに安全です。皮膚や粘膜組織に対する安全性も眼刺激試験、皮膚一次刺激試験、急性経口毒性試験において確認されています。
具体的にはECOシステムにより次のような効果があります。
・口腔内を殺菌しながら治療するため、細菌感染が原因の一つと思われていた治療後の腫れや痛みが大きく軽減される ・院内感染がゼロになる(B型·C型肝炎ウィルス、HIVウィルス、インフルエンザウィルス、ノロウィルス) ・むし歯菌、歯周病菌も殺菌するため水を出す治療によって細菌数を減少でき、予防にもなる ・患者さんも守るだけでなく、スタッフもあらゆる感染から守ることができる
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一安全性は生体免疫由来一 人間の体内で免疫担当細胞として働く白血球が、侵入して来た細菌やウィルスに対し、殺菌する過程で産生するのがこの次亜塩素酸であり、殺菌力も安全性も確実です。
➂Dr.PLUS また、治療に入る前にうがいをしていただいている水はさらに濃度の濃い機能水(タンパク分解型除菌水)を使用しています。
この水の特徴は、口に含んで強くうがいをする(水流を起こす)と10秒間は細菌の塊がいるバイオフィルムを剥したり、壊したりします。タンパクが分解することで水の性質がタンパク分解型から殺菌能を有する水に変化し、バラバラになった細菌、ウィルスがさらに5~10秒間のうがいで殺菌されるというメカニズムを持ったすばらしい水です。うがいの際にする消毒臭は「クロラミン」といって、口腔内のタンパク汚れ(プラーク)に反応して出る気体臭です。ですから口腔内からプラークが減り衛生的になると感じなくなります。このうがいはホームケアとして毎日行うとさらに効果的ですので、衛生士またはコーディネーターに指導を受け、ぜひご家庭でも使用して下さい。
一感染させない歯科治療一腕に注射をするときは必ずアルコールで消毒してから針を刺します。感染を起こさないためです。しかし、歯科医院では注射や抜歯その他の歯科治療前にしっかりとした消毒をせず、多少感染が起きても仕方がないとされてきました。献血をされた方は知っていると思いますが、3日以内に出血を伴う歯科治療を受けた方は血液に細菌が入っている(菌血症を起こしている)可能性が高いため献血を断られます。
しかし、タンパク分解型除菌水でうがいをして次亜塩素酸水で治療を受けた患者さんの血液に細菌感染は起こらず、菌血症にはなりません。将来は「宝沢伊藤歯科医院で治療を受けた方の血液ならご提供ください。」となるかもしれません。
※注意 タンパク分解型除菌水は治療の一環として処方するうがい水です。販売はできません。当院の患者様以外で購入を希望される方にはEPIOSで同じものを販売しておりますので、そちらの製品をご購入いただけるようお願いします。
(1本3,150円)
院長 伊藤 克紀