インプラント治療をされる患者さんに「インプラント治療をすると、CTやMRIの撮影はできなくなるのでしょうか?」という質問を受けることがあります。そのことに関して説明いたします。
CT (Computed Tomography) は、人体の周囲から細いX線を照射して、人体を透過した投影データを集め、コンピュータでそのデータ画像を再構成させてみるレントゲンの一種です。
MRI (Magnetic Resonance Imaging) は、「磁気共鳴画像診断」とも呼ばれ、人体に磁気を当てて画像を診断します。すると、体内の水素原子核が磁気に共鳴して微弱な電波を発生します。その電波を受信して画像を作製します。
ところで、CTを撮影する際には、時計やアクセサリーなどの金属を外すように言われますが、これは、金属アーチファクトという虚像が写ることを防ぐためです。これは全ての金属で起こる現象ではなく、インプラントにはチタンという金属が使用されていますが、このチタンはX線吸収が非常に少なくアーチファクトの原因にはなりません。MRIの場合は、磁気を当てるため、磁気に反応する金属があってはなりませんが、チタンは磁気に反応しませんので、MRIも撮影に問題ありません。
では、CTやMRIが撮影できないのは、どういう場合でしょうか?
〈CTの場合〉 埋め込み式ペースメーカーや除細動器を装着している方は、器機が誤作動を起こす可能性があるので撮影できません。
〈MRIの場合〉
①埋め込み式ペースメーカーや除細動器、人工耳小骨や脳動脈クリップなど、磁気や電気的刺激で作動するものが体内に埋め込まれている場合
②人工関節や磁力で装着している義眼なども、磁気に反応して振動し、損傷を起こすことがあるため撮影できません。
CTやMRIを撮影する際には、インプラント治療は問題がありませんが、何かご不明なこと、ご心配なことがありましたら、お気軽にご相談ください。
院長 伊藤 克紀